2019.8.22

知っておこう!胡蝶蘭に起こる夏場のトラブル、その原因と対処法

カテゴリー:夏場のトラブル、育て方、胡蝶蘭
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夏の太陽に照らされる胡蝶蘭

もともと赤道付近の熱帯地域で自生していた胡蝶蘭は、暑さに比較的強い植物です。

しかし一方で日本特有の暑さには弱く、一般家庭で育てている胡蝶蘭がさまざまなトラブルに見舞われ、夏を超えられずに枯れてしまうケースも多いとされます。

今回は胡蝶蘭の育成・販売を行うわたしたち「アロンアロン」が、日本で胡蝶蘭を育てるうえで見舞われがちな夏場のトラブルを、その原因とともに解説。

あわせて、夏場のトラブルを乗り越え日本で長く胡蝶蘭を育てていくために知っておくべき、具体的な対策も2つご紹介していきます。

あなたの大切な胡蝶蘭を長く、元気に育てるために、ぜひ最後まで目を通してくださいね。

目次

要注意!夏場に起こりがちな胡蝶蘭のトラブルとは

夏の日差し 窓辺

日本の一般家庭で胡蝶蘭を育てるうえで、夏に起こりがちなトラブルは以下の通りです。

強い直射日光で、胡蝶蘭の葉が焼けてしまう!


生えている位置に関係なく、葉が茶色や黄色、黒色、乾燥したような白色に変色した状態を「葉焼け」と言います。

葉焼けは、いわば強すぎる日光で胡蝶蘭の葉が重度の火傷を負った状態です。

屋外や日当たりの良い窓のすぐ近くに設置している胡蝶蘭に、よく起こります。

高温により、胡蝶蘭が病気になってしまう!


葉に以下のような症状が出ているときは、高温が一因となり、胡蝶蘭が病気になっていると考えられます。

高温が原因で発症する
「軟腐病」「褐斑細菌病」
葉が濡れているような斑点が現れ、やがて茶褐色に変化し、葉がぶよぶよに変質する。
高温が原因で発症する
「葉ダニの繁殖・寄生」
葉にツヤがなくなり、裏側にベタベタした白い斑点やかすりが現れる。


多湿により、胡蝶蘭の根が腐ってしまう!


高温多湿な日本の夏は、胡蝶蘭の根や茎・葉を腐らせることがあります。

特に、多湿と高温で株の心臓部である根が腐ってしまう「根腐れ」の影響は深刻で、発症すると胡蝶蘭全体が枯れてしまう原因となります。

胡蝶蘭の葉に出る異常の原因と適切な対処法は?症状から見る解説書
【プロ直伝】8つの症状から探る!胡蝶蘭の病気の原因と対処法

一体なぜ?熱帯植物の胡蝶蘭が日本の夏に弱い理由

弱って傾いた胡蝶蘭 イメージ

前項では、日本で育てられている一般家庭の胡蝶蘭が夏に見舞われやすい3つのトラブルについて、具体的にご紹介しました。

ここからは、もともと熱帯地域原産の植物で暑さに強いはずの胡蝶蘭が、なぜ日本ではさまざまなトラブルに見舞われてしまうのか、その原因を考えていきましょう。

日本の夏は、胡蝶蘭にとって高温すぎる!


野生の胡蝶蘭が生息している、熱帯地域の平均的な気候は以下の通りです。

胡蝶蘭の原産地、熱帯地域のおおよその気候
気温 年間を通して、15~22度くらいの間に保たれている。
湿度 乾季と雨季の二季で、年間を通して60~80%に保たれている。
日光 低い位置にある木や岩に根を張る着生植物であるため、常に他の高い植物の陰に隠れ、木漏れ日程度の日光を浴びている。


いつ、どこから日本にきたの?知っておきたい【胡蝶蘭の歴史】
直射日光はNG!プロ直伝、胡蝶蘭が元気になる日照環境&条件とは


一方、日本の夏の平均的な気候をまとめると、以下のようになります。

日本の夏の、おおよその気候
気温 夏にあたる7~8月後半まで、最高気温は30~37度程度になる。
湿度 梅雨にあたる6月以降、夏が終わる9月ごろまで60~70%に保たれている。
日光 夏に当たる7~8月にかけて、晴れている日には強い日差しが照り付ける。


つまり、日本の夏は胡蝶蘭の原産地である熱帯地域に比べてもかなり暑く、置き場所によっては直射日光も避けられない、過酷な環境だと言えるのです。

日本の胡蝶蘭が夏にトラブルに見舞われる、3つの原因


熱帯地域と日本の夏の気候の違いを鑑みると、夏に胡蝶蘭がさまざまなトラブルに見舞われる原因は、以下のように説明できます。

「植物には日光」の思い込みから、直射日光に当てられすぎる!
一般的に、植物はたくさん日光を当てて育てるもの、と認識されていますよね。

しかし着生植物である胡蝶蘭は、木漏れ日程度の少ない日光でも、十分に生長できます。

他の植物と同じように、長時間にわたって直射日光を浴び続けると葉焼けを起こし、かえって枯れる原因となるのです。

室外・室内ともに、胡蝶蘭にとっては高温になりすぎる!
日本の夏は、外の最高気温が35度以上になることも珍しくありません。

このため室外はもちろん、閉め切ってエアコンや扇風機を使用していない室内でも気温が30~35度前後となり、胡蝶蘭には高温すぎる環境になってしまいます。

水のやり過ぎや多湿から、根腐れが起こりやすい!
暑い時期には、ついつい植物に水をたくさん与えてしまいがちです。
しかし胡蝶蘭は、日光と同様に水もわずかな量で生長できる仕組みになっています。

このため、暑いからと言ってたくさん水を与えてしまうと、高温多湿な気候も影響してどうしても根腐れを起こしやすくなります。

プロ直伝!胡蝶蘭を元気に育てたい人のための《育て方ガイド》

夏のトラブルから、胡蝶蘭を守るための対策2つ

胡蝶蘭を守る2つの対策 イメージ

日本の夏特有のトラブルから胡蝶蘭を守り、育てていくためにできる対策としては、以下2つが挙げられます。

置き場所を調整し、温度と湿度を管理する


夏の胡蝶蘭によく起こるトラブルは、いずれも鉢の設置場所を変えたり、鉢周辺の環境を整えることで防ぐことができます。

鉢の置き場所や周辺環境を以下条件を満たすように改め、胡蝶蘭を守ってあげましょう。

・高温になる室外ではなく、レースのカーテンがかかった窓近くの室内がベスト
・あまり窓に近いと高温&直射日光が強くなるので、少し窓から離して置くこと
・室内の気温は、エアコンを使って25度前後の一定に保つと良い
・ただし、乾燥したエアコンの風が直接当たらないように気を付けること
・空気が乾燥しているようなら、1日に2~3回、葉に水を霧吹きでかけよう


人間が心地よいと感じる環境は、胡蝶蘭も心地よく感じると言われています。

快適な場所に鉢植えを設置し、胡蝶蘭にとって心地よい環境を作ってあげてくださいね。

茎や葉の状態を見て、栄養状態を管理する


胡蝶蘭は、他の植物に比べて栄養や水をあまり必要としません。

ただ、他の植物と同じように胡蝶蘭にとっても夏は成長期にあたるので、栄養や水の量をうまくコントロールできれば、健康も保ちやすくなります。

水と肥料は、以下を参考に与えると良いでしょう。

・多くても2~3日に1回、コップ1杯分だけを根元に与える
・たとえ根元の植え込み材が乾いていても、毎日は水を与えないこと
肥料 ・基本的には必要ないが、花付きをよくしたいなら夏の間2週間に1回ペースで与える
・与える肥料は液剤タイプで、3,000~5,000倍にまで薄めて使用すること

なお心臓部である株に栄養や生命力を保つために、花のついた茎を切ったり、植え替えをするのも効果的です。

以下の記事も参考にしながら、胡蝶蘭の様子を見て手入れしてあげてくださいね。

夏には夏の育て方!胡蝶蘭を長持ちさせるために知っておくべきこと



いかがでしたか?
生命力の強い胡蝶蘭は、気温・湿度・栄養のバランスさえ整えてあげれば、数年以上にわたって長く楽しむことができます。

この記事を参考に夏を乗り越えるためのコツを掴み、胡蝶蘭の育成を楽しんでくださいね。

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