【プロ直伝】8つの症状から探る!胡蝶蘭の病気の原因と対処法
カテゴリー:病気、胡蝶蘭育てている胡蝶蘭に元気がないなと思っても、どう対処したらいいのかを自分だけで判断するのは難しいですよね。
原因も対処法もわからないまま悪化してしまい、結局枯らしてしまった経験のある方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、胡蝶蘭を扱う私たち「アロンアロン」が、葉と花の8つの症状別に、胡蝶蘭の病気について、その原因と対処法を分かりやすく解説します!
さらに害虫被害についてもあわせて紹介していますので、これさえ読めば胡蝶蘭に起こるトラブルについて、詳しく学ぶことができますよ。
目次
病気のサインを見逃さないで!
枯れたりしおれたりする以外にも、胡蝶蘭の病気のサインは葉・花・茎などいたるところへのシミや変色として表れます。
最近元気がないなと感じたら、花だけでなく葉や茎の細部まで観察してみてください。
色や質感に異常を感じたら、それは胡蝶蘭からのSOSです。手遅れになる前に原因を探って、適切に処置してあげましょう。
以下からは、【葉】と【花】それぞれの症状別に、考えられる病気と、その原因と対処法を解説していきます。
あなたの胡蝶蘭の症状に当てはめて、対処法を探してくださいね。
胡蝶蘭の「葉」の異常から考えられる病気
まずは、異常が出やすい胡蝶蘭の葉の症状から、病気の原因と対処法を探っていきます。
葉が黄色く変色している!
考えられる病気 | 葉焼け |
症状 | ・葉が黄色や茶色に変色する ・乾いて白っぽくなる |
原因 | 直射日光による、葉の傷み |
対処法 | 置き場所をすぐに変える。 緑の部分がほとんど残らないほどひどい場合は、患部を切り取る。 |
◆直射日光による病気から胡蝶蘭を守るには?
レースのカーテン越しの柔らかい日光が当たるよう、置き場所を工夫しましょう。
適度な日光を当てることで株が強くなります。
考えられる病気 | フザリューム菌による立ち枯れ病 |
症状 | ・葉が急に黄色くなる ・下の葉から落ちていく |
原因 | 水滴がたまるなどして葉が蒸れ、フザリュームというカビ菌に感染したため |
対処法 | 風通しの良い蒸れのない場所に置き、「タチガレン」「リドミル」などの薬剤を塗布する。 葉だけではなく茎や根にも感染がある場合は、その部分を切り取り、植え替えをする。 |
葉に斑点ができている!
【褐色の斑点】
考えられる病気 | 「軟腐病」または「褐斑細菌病」 |
症状 | ・葉に濡れたような斑点が現れる ・斑点が淡褐色に変化する ・葉がブヨブヨに腐る |
原因 | 高温多湿の環境下で、葉焼けなどの傷口から細菌に感染したことによるもの |
対処法 | 患部を大きめに切り取り、切り取った部分と周りの株にバクテリアに効果のある「スターナ」や「ナレート」、台所用の塩素系殺菌剤などを塗布する。 《ココに注意!》 感染力がとても強い病気なので、使用前後に切り取り用のハサミの刃先をライターやコンロであぶって消毒する! |
◆多湿による病気から胡蝶蘭を守るには?
人間が「心地よい」と感じる風は、胡蝶蘭にとっても心地のよいものです。
心地よい風の抜ける風通しの良い場所に置いて、通気性を確保しましょう。
【黒色の斑点】
考えられる病気 | 炭そ病 |
症状 | ・淡褐色の小さな斑点が現れる ・やがて大きく黒色の斑点ができる |
原因 | 葉焼けなどで葉が弱っているときに、カビの一種が活発に活動することによるもの |
対処法 | 斑点の周りを5ミリ程広めに切り取り、「ダイセン」「ダコニール」などの薬剤を散布する。 |
葉に白いカビのようなものが付いている!
考えられる病気 | コナカイガラムシの寄生 |
症状 | ・葉の裏に白くふわふわした粉状のものが付着している |
原因 | 花や葉の養分や水分を吸い取る害虫「コナカイガラムシ」が寄生したため |
対処法 | 市販の害虫駆除剤を散布し、自然に剥がれ落ちるのを待つ。 ※葉が傷ついて別の感染症の原因となるため、歯ブラシや楊枝で無理やりはがすのは避けてください! 《ココに注意!》 1か所でもコナカイガラムシがいたら、周囲にも必ずいるので、見逃さないように駆除すること! |
葉にツヤがない!
考えられる病気 | 葉ダニ |
症状 | ・葉のツヤがなくなる ・葉の裏側にベタつき、白い斑点が見られる ・葉の裏側がかすり状になっている |
原因 | 梅雨明け後などの高温・乾燥の環境下で、害虫の葉ダニが発生し寄生したため |
対処法 | ハダニは薬剤への耐性がつきやすく水に弱いので、寄生している葉裏に水をかけて駆除する。心配なら、2~3日これを続ける。 |
考えられる病気 | ルゾクトニア菌による立ち枯れ病 |
症状 | ・葉にツヤがない ・黄色くなる前にしおれてしまう |
原因 | 水のやりすぎや風通しの悪い環境で根にルゾクトニア菌が感染し、根腐れを起こしたため |
対処法 | 根本への水やりをやめて、葉の表面と裏、根本がしっとりする程度の霧吹きのみに切り替える。 しばらく続けていると新芽が出てくるが、その後もしばらくは霧吹きでの水やりを続けて、水やりは控える。 |
◆水のやりすぎによる病気から胡蝶蘭を守るには?
胡蝶蘭への水やりは「控えめ」が基本です。
水をあげたくなってから2日待って与えるぐらいが、ちょうどよいタイミングです。
胡蝶蘭の「花」の異常から考えられる病気
その美しい姿で私たちを楽しませてくれる胡蝶蘭の花ですが、小さくてもシミや変色が見られる場合は、病気の可能性があります。
以下の症状をよくチェックして、当てはまっていればすぐに対処してください。
花に灰色の斑点ができている!
考えられる病気 | 灰色カビ病 |
症状 | ・小さな褐色の斑点が発生する ・しだいに斑点が大きくなり、灰色や緑灰色のカビが発生する |
原因 | 低温多湿の状態が続くことで、ボトリチス菌というカビが発生したため |
対処法 | 原因である「低温多湿」を解消するため、鉢の周りを段ボールなどで囲って温度を上げるのが効果的。 |
花が変色している!
考えられる病気 | アザミウマ(スリップス)の寄生 |
症状 | ・花びらのふちが黄色く変色している |
原因 | 高温で乾燥する時期に害虫のアザミウマが胡蝶蘭に寄生し、花やつぼみを傷めたため |
対処法 | 「オルトラン」などの薬剤で駆除する方法もあるが、効果は一時的。 アザミウマ(スリップス)は特に街中に自生するタンポポの花に住み着いているので、 薬剤散布と並行して近所のタンポポを駆除するのが効果的。 |
花がしおれる!
考えられる病気 | 低温障害 |
症状 | ・花が下に垂れてしまう |
原因 | 気温が低すぎるために、花が凍ってしまったため |
対処法 | 部屋の温度を15度以上に保ち、低温を解消する。 |
◆低温による病気から胡蝶蘭を守るには?
もともと暖かいところで自生している胡蝶蘭は、寒さに弱いです。
気温が15度を下回ったら、段ボールや毛布で鉢を囲って温めてあげましょう。
また、冬の常温の水は冷たすぎるため、ペットボトルに入れて日向で温めてから与えるのがおすすめです。
花やつぼみが落ちてしまう!
考えられる病気 | アブラムシの寄生 |
症状 | ・つぼみが落ちる ・つぼみがいつまでも開花しない |
原因 | 高温で乾燥する時期に、花やつぼみ、花茎に害虫のアブラムシが寄生したため |
対処法 | アブラムシは、水で薄めた牛乳を霧吹きすると駆除できる。 |
その他の「害虫被害」にも要注意!
最後に、ここまでで紹介した病気の他に、特に多い2種類の害虫について、その駆除方法をご紹介します。もし見つけたら、胡蝶蘭が本格的に弱ってしまう前に駆除するようにしてください。
すべてを食い荒らす《ナメクジ》
原因となる害虫 | ナメクジ |
症状 | ・花やつぼみ、新葉、根の先を食い荒らされている |
原因 | ベランダなど屋外で育てている場合、梅雨時などに発生しやすい |
対処法 | 薬剤の「マイキラー」を散布して駆除する。 鉢の周りに銅版を置くのも効果的。 |
鉢の中に巣をつくる《アリ》
原因となる害虫 | アリ |
症状 | ・水遣りをすると、鉢の中からたくさんのアリが出てくる |
原因 | 葉の裏に出る成分を目当てにアリが集まり、根元に巣を作る |
対処法 | 「マラソン」などの殺虫剤を水に溶かし、その中に鉢をつけて駆除する。 これを2~3日続けて行う。 |
胡蝶蘭を病気から守るための予防法3選
胡蝶蘭が病気になったとき、根や葉が腐ったり枯れたりと、さまざまな症状が出るのです。
最後に、病気から胡蝶蘭を守るための方法を3つご紹介します。
風通しの良い環境に置く
胡蝶蘭は、自然の風が通る場所を選んで設置することが大切です。
胡蝶蘭はとてもデリケートな植物であるため、自然の風ではない扇風機やエアコンの風が直接当たる場所や、自然の風でも強い風が吹く場所は避けましょう。
胡蝶蘭を長持ちさせるために大切なことは、室温・湿度・日当たりの3つになります。
胡蝶蘭は暑さにはある程度耐えられますが、寒すぎる環境では枯れてしまうことが多いことから、室温は最低でも10℃以上(理想は20℃~25℃くらい)といった人でも過ごしやすい室温が最適です。
湿度は70%が理想ですが、鉢の中が蒸れすぎると根腐れを起こすことがあるため、風通しの良い場所を選んで設置しましょう。
「胡蝶蘭が寒さを嫌うから」と冬場に暖房器具の近くに置いてしまうと、暖かすぎたり乾燥したりして枯れることがあります。
部屋の湿度が50%以下の場合には、葉の表面に霧吹きで水分を補ってあげましょう。
また直接日光に当てると葉っぱが茶色く焼けてしまうことがあるため、日中の日差しが差し込む明るい室内に置き、レースのカーテンで日差しを調整します。
胡蝶蘭を清潔に保つ
気温が高くなる季節は特に鉢の中が蒸れやすく、カビが発生したり根腐れを起こしたりとトラブルが発生しやすくなります。
そのため、水やりをしたときに鉢皿に水がたまらないようにしたり、水がたまったら捨てたりすることで、胡蝶蘭を清潔に保ちましょう。
鉢の中の蒸れを防止するには、胡蝶蘭を頂いたあとは早めにラッピングを外し、通気性を良くすることがポイントです。
日ごろから胡蝶蘭をよく観察する
こまめに胡蝶蘭を観察することで、葉が健康かどうかや害虫がついていないかなど、小さな変化に早く気付くことができます。
水やりの際に、葉の裏や土の状態などをよく観察してみてください。
例えば胡蝶蘭の根腐れは急には起こらず、ゆっくりと進行していきます。
葉にツヤやハリがなくなっていき、シワシワになるのが根腐れの初期症状です。
葉がシワシワになっているなら、胡蝶蘭の他の部分(茎や花・植え込み材)の状態も観察する必要があります。
胡蝶蘭の根腐れは、水のやりすぎや肥料のやりすぎが原因のひとつです。
胡蝶蘭はあまり肥料を与えなくても生長する植物であるため、肥料をあげすぎると枯れてしまうことがあります。
水やりは、土の表面がある程度乾いたのが確認できたら、可能な限り午前中にあげるといいでしょう。
いかがでしたか?
日頃の世話の仕方や置き場所、ちょっとした衛生管理に気を付けるだけで、これらの病気は防ぐことができます。
胡蝶蘭の病気も人間と同じで、日頃の予防と早期発見、早期治療が大切です。
あなたの胡蝶蘭を元気に育てるために、よく観察して、病気から守ってあげてくださいね。
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