どういう構造してるの?胡蝶蘭の花、各部位の名称・役割を学ぼう!
カテゴリー:各部位の名称、役割、構造、胡蝶蘭、花お祝いの品としていただく機会の多い、胡蝶蘭の花。
大きくてゴージャスな見た目をしていますが、よく見ると他の花とは異なる変わったかたちをしていますよね。
今回は、贈答用胡蝶蘭を販売する私たち「アロンアロン」が、胡蝶蘭の基本的な構造と特徴、花の各部位の名前・役割をまとめて解説!
耳慣れない言葉も、他の花の部位に置き換えてるなどしてわかりやすく説明していきますので、一緒に胡蝶蘭の花の構造について理解していきましょう。
目次
胡蝶蘭ってどんな植物?基本情報を知ろう
植物としての胡蝶蘭の基本的な情報を、以下の表にまとめました。
原産地 | 東南アジア諸国や台湾など、年間を通して温かい熱帯地域 |
分類 | ・ラン科パンダ亜科コチョウラン属 ・花を使って種をつくり、子孫を反映させる「被子植物」 |
学名など | ・学名「Phalaenopsis Orchid(ファレノプシス・オーキッド)」 ・英名「Moth Orchid(モス・オーキッド)」 ※どちらも「蛾のような蘭」という意味 |
花言葉 | ・日本語圏では「幸福が飛んでくる」 ・英語圏では「優雅」「愛」「美しさ」「上品」「豪華」「快活」 |
発見 | ・1836年、イギリス人の探検家によりジャングルで発見される |
日本での歴史 | ・イギリスである程度改良が進んだものが、明治時代に伝わる ・大正時代には、技術の進歩で国内での安定生産が可能に ・豪華で美しい姿が愛され、徐々に贈答品の定番に |
胡蝶蘭は、他の花とどう違うの?
たんぽぽやひまわりなど、土に根を張り茎・葉・花をつける身近な草花と比べて、胡蝶蘭はどのような特徴を持っているのでしょうか。
花のかたちが違う!
一般的な花が花びら、その内側に雄しべ、さらにその内側に雌しべが付いているのに対し、胡蝶蘭にはふさふさした雄しべがありません。平たく開いた肉厚の花びらの中央に、前に突き出たちょっと硬そうな組織が見えます。
根の生え方、伸び方が違う!
一般的な植物は土の中に根を張りますが、胡蝶蘭は土に当たる植え込み材の外、空中に向けて根を伸ばしていきます。必要な水・栄養の量が違う!
胡蝶蘭は、少ない水と栄養だけで生きていけるよう進化した着生(ちゃくせい)植物です。
【着生植物とは】
木や岩にくっつき、寄生するかたちで生きている植物のこと。
胡蝶蘭は大きな岩や木に張り付き、木陰から漏れ落ちてくる日光を栄養に、空中に伸ばした根から取り込んだ少ない水分で生きることができる。
このため、生きていくためにあまり水やりや肥料を必要としません。
季節によっても変わってきますが、基本的には肥料は必要とせず、水やりも7~10日に1回行えば十分です。
胡蝶蘭の花:各部位の名前と役割を解説
ここからはいよいよ、独特なかたちをした胡蝶蘭の花の部位と名称、それぞれの役割について解説していきます。
像の耳のように、左右に開いた2枚の「ペダル」
花弁、つまりは花びらのことです。たくさんあるように見えますが、胡蝶蘭の花びらは突起の左右についたこの2枚のみ。
胡蝶蘭の花の美しさを左右する大切な部位で、観賞用植物として人間の手で改良されるうち、大きくなっていきました。
生物学的には、受粉をさせてくれる虫を惹きつけたり、雄しべや雌しべを守るために存在しています。
花びらを背後から支える上下の「セパル」
花びらの後ろから上に大きく1枚、下左右に2枚見えているのはセパルと呼ばれる、ガクに当たる部分です。
上側にあるのが大きな1枚が「ドーサルセパル」、下側にある小さな2枚は「ロアーセパル」と呼ばれています。
花の付け根から花びらを支える部位で、他の植物では葉のような緑色をしていることが多いです。
花びらをはじめ、花全体を支える役割を担っています。
胡蝶蘭の花のうち、最も前に突起した「リップ」
「唇弁(しんべん)」とも呼ばれる部位で、花びらが変化したものだと言われています。
付け根にはひげのように見える突起がついていて、虫にとまってもらうための飛行場のような役割を担います。
この部分の色も胡蝶蘭の見た目にアクセントをつけたり、美しさを増す要素になります。
リップの奥にあり、雄しべと雌しべをつなぐ「コラム」
別名「蕊柱(ずいちゅう)」と呼ばれる部位で、花の奥の方から延びて雄しべ、雌しべ、リップをつないでいます。胡蝶蘭が生殖するうえで、非常に重要な器官です。
リップにとまった虫は、香りに魅かれてこのコラムの方へと進んでいきます。
リップの付け根についている「突起」
リップの付け根についている突起部分。リップの奥、コラムを隠すようにしてついていて、虫を惹きつける役割があります。
塊上の花粉を2つ持ち、雄しべの役割を果たす「花粉塊(かふんかい)」
一般的な植物は粉状の花粉を持ちますが、胡蝶蘭は小さな塊上の花粉を2つ、リップの上部・花粉塊と呼ばれる部分に持っています。
大きく前に反りだしたリップの上、虫の目のようにも見える黄色い2つの袋が花粉で、受粉することで新しく種子を作り出します。
花粉塊を隠し、守っている「葯帽(やくぼう)」
生殖においてとても大切な花粉塊を、受粉に至るまで守るための器官です。花粉塊の上部を覆うようについていて、文字通り、花粉塊を守る帽子のような役割を担っています。
接触したものに付着し、花粉塊を運ぶための「粘着体」
花粉塊の下にある、三角形の部位。
裏側には粘着物質が付着していて、リップからコラムに向かい戻ってきた虫が触れることで、葯帽ごと花粉塊と一緒に虫に付着し取れる仕組みになっています。
かなり粘着度が高く、触れるものに簡単に付着しますが、なかなか取れません。
自然界では、虫に花粉を運んでもらって受粉・生殖するための重要な器官です。
一般的な植物の雌しべに相当する「柱頭(ちゅうとう)」
コラムから花粉塊・葯帽を取り除いた後に出現する、凹んだ器官。
他の植物でいうところの雌しべにあたり、ここに花粉塊を挿入・付着させることで受粉が完了します。
【花粉塊が取れたり、受粉させるとどうなるの?】
何らかのきっかけで胡蝶蘭から花粉塊が外れてしまうと、胡蝶蘭の花は生殖の使命を終えたと判断して、5日ほどで枯れてしまいます。
仮に花粉塊を柱頭に触れさせて受粉した場合も、やはり5日ほどで花は枯れます。
ただ、花のついている短い茎のような部分・花枝(はなえ)は枯れず太く濃い緑色になっていき、子房(しぼう)となって種を蓄えます。
通常の胡蝶蘭の開花期間である1~2か月、長く胡蝶蘭の花を楽しみたいなら、花粉塊を傷つけないよう気を付けましょう。
胡蝶蘭の構造と各部位の名称、役割について理解できたでしょうか。
名前だけを見ているとわかりにくかもしれませんが、役割や他の花の部位に置き換えてみると、理解できてくると思います。
花の構造を理解して、胡蝶蘭を育成・管理するときの楽しみを増やしてくださいね。
胡蝶蘭を受粉させて花を咲かせるには?
胡蝶蘭も植物である以上、繁殖させるには受粉させる必要があります。
しかし胡蝶蘭の受粉は、昆虫を経由しての受粉が難しいため、人間の手で受粉させるほうが確実です。
ではここから人間の手で受粉させるにはどうすればいいのか、詳しい手順をみていきましょう。
花粉塊から雄しべを取り出す
花粉は読んで字のごとく「粉」になっていることが多いですが、胡蝶蘭の花粉は塊状の「花粉塊」になっており、胡蝶蘭の雄しべは花粉塊の中に入っています。
花粉塊は粘着性が高く、触ると指にくっついて離れないのが特徴です。
胡蝶蘭を人工的に受粉させるときは、胡蝶蘭の中心突起の上にくっついている黄色い花粉塊を、指などにくっつけて取り出します。
つまようじやピンセットのような細長い物を使い、取り出した花粉塊の中に入っている黄色い雄しべを取り出しましょう。
雄しべを柱頭の雌しべに押し込む
花粉塊から雄しべを取り出したら、胡蝶蘭の雌しべに雄しべをくっつけます。
雄しべを取り出す際に使用したつまようじやピンセットで、雌しべのある位置に押し込むイメージでくっつけるとよいでしょう。
雄しべを取り出した胡蝶蘭の花は枯れてしまいますが、受粉に成功していたら、1カ月ほどで花のあった部分の根本が膨らみ、種子の入ったサヤができます。
花が咲く環境を整える
胡蝶蘭の受粉が成功したら、確実に花を育てるための環境を整えましょう。
胡蝶蘭が元気に育つには、以下の条件を満たすことがポイントです。
・湿度、温度
胡蝶蘭の生育に適した温度は18〜25度程度、湿度は20度前後となっています。
冷暖房を使って条件を整える場合は、胡蝶蘭に冷暖房の風が直接当たらないよう注意しましょう。
・水やりの頻度
胡蝶蘭は他の植物とは異なり根を土に張らないため、根の吸水性が非常に高く、長期間水分を蓄えることができます。
水のやりすぎはかえって根腐れの原因になるため、毎日こまめに水をあげたり必要以上に水を与える必要はありません。
1株につきコップ1杯程度、7~10日ごとに1回水やりするのが理想的でしょう。
・置き場所・日照条件
胡蝶蘭は本来ジャングルの高い木に生息する植物のため、元々住んでいた環境に合わせて育てる必要があります。
そのため、日当たりが良く風通しの良い場所に置くのがよいでしょう。
ただし直射日光が当たる場所は、日焼けの原因になるため注意が必要です。
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